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浴衣がこんなにエロいなんて聞いてない!

高坂 幸

 人は誰しも欲がある。

 それは人の身を捨てた水晶公でさえも同じ。英雄を、彼女を救いたいというただそれだけの欲のみがあると、その他の欲はとうの昔に置いてきたと。

 ──そう、思っていたはずなのに。

 いいや、私は悪くないと首を振る。

 彼女が見慣れない衣装に身を包み、髪を高く結って綺麗な項を惜しげも無く晒してどうかな? と問い、

 浴衣という衣服は元々は寝間着で、素肌の上に身に付けるから暑い夏の夜でも過ごせるのだと教え、

 夜の湖畔を下駄を鳴らしながら歩く傍らで、こうして二人っきりで過ごすのも久しぶりだね、と頬を染めながら見つめてくる彼女が悪い。

 酷い責任転嫁かもしれないが、これだけの条件を並べておいて何も悪くないと言い逃れすることは出来ないのではないだろうか。への字に曲げる唇に舌を捩じ込みながらそんなことを考えているとは知る由もない彼女は、私のローブをぎゅっと握りしめて口付けを受け入れた。

「んん、んぅ……」

 咥内で響く声に耳を傾けながら、わざと彼女の耳に届くようにと音を立てて、肉厚な舌を吸う。彼女の性感帯はすっかり知り尽くしており、こうして強く舌先を吸うのも、硬く尖らせた舌で口蓋を擽りながら耳介をそっと撫でられるのも好きだということは十分把握している。

 だめと抵抗していた手を一つに纏めて木に縫い止めれば、既に主張し始めた胸の飾りが薄い布地をつんと押し上げた。まだそれには触れず、じわっと首筋に滲んだ汗に舌を這わせた。塩辛くもほんのり甘いのは彼女だからなのかそれとも。時折頭の上でぱたぱたと揺れる耳が、彼女が嫌がっているわけではないと教えてくれる。

 きっと彼女も満更ではないのだ。ここが外でなく、ペンダント居住館の部屋の中なら、星見の間よりももっと奥にある深慮の間であったのなら、この白い細腕を私の首に回して強請るような視線を投げていただろう。しかし、ここは紛れもなく外だ。いつ人が通るとも限らない。無防備な状態で魔物やはぐれ罪喰いがやってくるともしれない、そんな状況下で行為に及ぼうとすることに抵抗があるのだろう。きっと睨み上げてくる瞳に一つ微笑みながら唇に指を当てて静寂を促す。

 鎖骨に小さな華を咲かせながら、柔らかく、肌触りのいい乳房に指を沈めていく。まだ中心には触れず、下から持ち上げて中心へ振動がいくように揉んでいく。下唇を噛み締めて声を漏らすまいと耐える彼女に興奮しないはずがなく、自身のローブを押し上げる存在を彼女の脚にぐっと押し付けた。

「……ッ」

 薄い浴衣越しに彼女の柔らかい太腿の感触を楽しみながら、掌で形を変える胸を優しく揉んでいると「ラハ」と小さく彼女の声が名を呼んだ。蜂蜜のように甘く蕩けるような声にこれ以上焦らすのも酷かと感じ、胸の飾りに舌を伸ばす。つんと立ち、赤くした実を舌でなぞり、じゅるっと音を立てて吸うとその度に彼女の胸がぷるんと揺れた。時折膝が擦り合わされるのに気付かないフリをし、丹念に胸を愛撫していると、突然耳を濡れた感触が襲う。視線だけ上げれば彼女の赤い舌が唇から覗き、私の耳にその先端を伸ばしていた。

「あなたという人は」

「やられっぱなしは性にあわないの」

 したり顔で口角を上げる彼女。きっとこの後どんな目に遭うか分かっていないのだろう。いや、分かっててもなお優位に立ちたいということか。彼女の負けず嫌いはこんなところにも出てくるのだなと微笑ましくなる。

「そこがあなたの良いところでもあり、悪いところでもあるな」

 カリッと実に歯を立てると、弧を描いていた口元はきゅっと結ばれる。早く彼女の中に埋めてしまいたい気持ちもあるが、このまま焦らして彼女の愛らしいお強請りも聞いてみたい。本当に人の欲とは底知れないなと心の中で苦笑しつつ、まるで赤子が乳を飲むかのように舌先で転がしていたそれをじゅぅっと吸った。

「ひっ、んぅ」

 ふるふると震えながら嬌声を耐える姿で疲れは吹っ飛んでしまう。闇色シロップよりももっと効き目が強く感じる。真面目に考察し始めようとすると、手が止まっていたのか彼女の尻尾がぺちりと続きを催促してくる。もちろん無意識の上でだが。

「は、んッ……ぅ」

 両の胸を触りたいが彼女の腕を解放すれば、時折漏れ出るあまい吐息が覆い隠されてしまう。どうしたものかと彼女の体に視線を這わせると、乱れた浴衣を辛うじて支えている帯が目に入る。これを使わない手はないと素早く帯を引き抜き、彼女の手を拘束すると、そのまま木に縛り付けた。

「な、なにするのっ!」

「しー。少しばかりあなたの動きを封じさせてもらおう、なに、悪いようにはしないさ」

「……今の方がよっぽど小悪党」

 彼女が何と比較しているのか気が付き、咳払いを一つする。何はともあれ動きを封じることは出来た。そして帯を失ったことにより、はらりと布地が捲れ、最早肩に引っかかるのみとなった。