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してもいいのに

アスカ

 彼女の内側に吐き出せるだけ吐き出して、ようやくオレは詰めていた呼吸を再開させた。

 喉を通る空気がやけに冷たく感じる。身体が熱くなっているからだろうか。

「ね、ねえ……らは、くるし……」

「あっ、わ、悪い!」

 腕の中からくぐもった声が聞こえてきて、慌てて身体の力を抜く。ぺは、と安心したように息を吐く音がした。

「もー……すぐぎゅってするんだから」

「気をつけてるつもりなんだが、つい……」

 頭を撫でていたつもりが、気づけばしっかり抱き込んでしまう癖は未だ直らない。水晶の身体になっても矯正できなかったのだから、彼女には諦めてもらうほかないかもしれない。

 彼女が大きく息をする度に、胎も連動してうねる。奥は先端を押してくるくせに、手前は逃さぬよう締めつけてくる。追い出したいのか、入っていてほしいのか、はたして。

 そうして弄ばれていては、たかが一回出した程度で萎えるわけもなく。今すぐにでも第二ラウンドを始めてしまいたくなるが、さすがに彼女への負担が大きい。

 オレの葛藤を見計らったかのように、冒険者はけほけほと小さく咳をした。

「水、飲むか?」

「のむー……」

 枯れた声と咳払いが返ってくる。痛い思いをさせないためとはいえ、挿れる前から何度もイかせてしまうのも考えものだ。

 彼女の中から自身を引き抜いて、床で転がっているブーツに足を突っ込んだ。出ていく時の色っぽい声で腹の奥の疼きが強くなった。無自覚に煽ってくるな、と何度言ってもこれだ。相手がオレじゃなかったらどうなっていたことか。

 コップを片手に戻ってきても、冒険者はくったりとシーツの海に沈んだままだった。いつもならもっとマシな状態だった気がする。あの一大事からかなり期間を空けたと思っていたものの、もっと自制すべきだっただろうか。

「飲めそうか」

「んー……」

 サイドボードにコップを置き、冒険者の背を支える。されるがままに起き上がった彼女は気だるげに顎を持ち上げた。

「ん」

「……しかたないな」

 こちらが体格差の負い目を感じていることに気づいているかは分からないが、行為の最中はいつも以上に甘えん坊だ。つい甘やかしてしまいたくなるような甘え方をしてくるから本当にタチが悪い。いや、これは最中だけのことではなかったか。

「口、開けて」

「んぁ」

 コップの水を含み、唇を重ねる。わずかな隙間から流し込むと、こくんと彼女の喉が動いた。

 もっと、とねだられて、もう一度繰り返す。冷たい水と熱い粘膜のギャップにくらくらする。つい舌を差し込んでしまったのもそのせいだ。彼女の小さな舌と絡ませて、歯列をなぞり、口蓋を舐める。腕に伸びてきた手をベッドに縫いつける。

 お互い荒い息を吐くようになる頃には、彼女の体に覆いかぶさっていた。

「もう一回、挿れていいか」

 問いかけた声が、自分でも分かるくらいにかすれていた。冒険者は「んー」と思案するように間延びした声で返事をして、愛らしく首を傾けた。

「ちゅーしてくれたらいーよ、んっ」

 即座に目の前の唇にかぶりついた。獣じゃあるまいし、と内心で自嘲する。だが、それでも欲しいものは欲しい。一分でも、一秒でも、早く。

 互いに唇を食む。ねだるように伸びてきた小さな舌を絡め取る。舌先からその形に沿わせつつ口の中へ侵入すると、柔く吸われた。濡れた音と粘膜同士が擦れあう感触に脳が痺れる。だが、ここよりもっと熱く、もっと狭いところに包まれたい。

「……なぁ、もう」

「だーめ。もっと」

 お預け継続。まだ物足りないらしい。

 下心を愛情で押しのけ、もう一度唇を重ねる。冒険者のお望みに応えるべく耐えてはいるものの、早く善くなりたいという衝動は際限なく膨れ上がっていく。

 仕方なく右手で己を慰めていると、不意に何かがそこへ触れた。

「っ!? ちょっ、なにを」

「ここ、気持ち良くなりたいんでしょ?」

 ぬちゅ、と音を立てて先端を撫でてきたのは冒険者の足先だった。「手伝ってあげるね」と笑う姿は無邪気で、悪意ある見方をすれば小悪魔じみているとも言える。